SSブログ

おんなのひとりごはん [本]

わたしの行き付けになった南宇都宮の蕎麦屋「喜久粋」で、この本のような情景に遭遇した。

グルメ本なのか?小説(文芸)なのか?宇都宮中央図書館は料理のコーナーに、この本を置いている。
51loleGwzEL.jpg
内容(「BOOK」データベースより)
町角にいい匂い。ぱちっとおいしいもの、食べたいな。空っぽの胃袋を満たす19のめくるめくドラマ。
とんかつ屋からカフェまで、頼れる100店厳選ガイド付き。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
平松/洋子
エッセイスト。東京女子大学卒業後、アジアを中心とした国内外の料理や食、生活文化を中心に取材、執筆を行っている。『買えない味』で第16回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞


 お蕎麦屋さんには、よく壁向きカウンターがあって、御一人様は壁に向かって食事をしている。私は、どうも苦手で、よほど混んでいる昼時でもなければ座らない。夕方の店は大概空いていて、開店一番乗りで好きな席に座るけど、その日は少し遅れて行き、ベストポジションには先客があったので、遠慮せず6人掛けのデーブルに新聞を広げておいて、おしながきを眺めていた。
 そこへ、「!!!てっぱん!」と叫びながら、女性客が入って来た。古株の常連さんらしく、オネエサンが焼酎のボトルを用意すると、「今日は、コレの前にグレープフルーツ・サワー。」と続けた。
 都合、私の注文が後回しになったが、その間に女性客の注文した品を、おしながきで見つけた。「山芋てっぱん」とある。オネエサンに指で指しながら、「コレ?どんなのですか?」と聞くと、「もう少しで出ますから、見てください。」と言うので、お酒だけ頼んで待つことにした。
 付き出しの「鶏肝の柚煮」はとても美味しい!・・・この店は、付き出しだけでも満足できる。
 PAP_0004.jpg
 酒と鶏肝に夢中になっていると、あの、なんとも言われぬ音が聞こえてきた。ジュゥゥゥゥ
 「うひょ~会いたかったよぉ!」と、またしても叫ぶ女性客!
 オネエサンに「ください!」と注文する声に、女性客は「この音聞いたら欲しくなるよね~。」と、私に向かって話しかけてきた。私も「そうですね!」とかなり愛想良く応えたが、壁向きカウンターに座った、女性客との会話は、それきりだった。



その山芋てっぱんがぁ・・・コレ!



(残念ながら、ジュゥゥゥゥという音は、拾えませんでした。)

 女性客は「ひとり」だった。壁向かいカウンターで、焼酎のボトルをワキに、「うひょ~会いたかったよぉ!」と叫んで、この山芋てっぱんを肴にしていた。蕎麦屋で、勝ったも、負けたも無いが、その晩の私は負けた。
♪ 負けてウレシイ山芋てっぱん!(そういえば、女性と飲んで勝ったことなかったっけ・・・。)


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。